リスクの表現としての期待値:前編【産業保安のけいざい学】 by 牧野 良次

さんぽコラム 産業保安のけいざい学
リスクの表現としての期待値:前編
牧野良次

投稿日:2017年07月13日 10時00分

「リスク=確率×損害」という定式化

 一般にリスクは「発生確率と結果の組み合わせ」と定義されます。しかしただ「組」と言われても抽象的過ぎてよく分かりません。そこで確率と結果の組み合わせをマトリックスで整理した上で、対応するリスクの大きさをI、II、IIIのように分類するといった表現上の工夫がなされます。別の方法として、今後起こりそうな事象のシナリオを抜けなく想定してリストアップするというのも大変有効なリスクの分析だと思います。分析の具体的なあり方は多種多様です。

 ところで、リスクを数値的に解析する際に考えられるのは「リスク=発生確率×結果」という定式化だと思います。例えば確率30%で1億円の損害が出て、確率70%で損害が出ない(0円の損害が出る)なら、リスク=0.3×1億円+0.7×0円=3千万円ということになります。これって、要するに損害の期待値ですね(期待値とは確率を加重とした加重平均のことです)。今回と次回のコラムではこの「期待値」型のリスク表現について私が思うところを述べてみます。

 なお今回と次回のコラムでは期待値型のリスク表現に着目しますが、それを良いと思っているとか、推奨しているとか、そういうことはまったくありません。念のため。

こんなギャンブルはいかがでしょう?

 コインの裏表、どちらが出るか?というタイプの賭けについて考えてみましょう。具体的には以下です。

  • 表が出たら1億円取られる(1億円の借金を背負う)
  • 裏が出たら2億円もらえる

このコインにゆがみはないとします。つまり表が出る確率は50%、裏が出る確率も50%です。

 さて、今回のコラムでは上記の賭けに関して読者の皆さんにアンケート調査を行ってみたいと思います。2つの質問をしますので是非ぜひご回答下さい(回答下さった方への賞品などは特にありません。すみません・・・)。

※スマートフォン等で下記アンケートフォームが正常に表示されない場合はこちらからご回答ください。

 次回のコラムでは皆さんからいただいたアンケート回答の結果を示しつつ、期待値型のリスク表現についてもう少し考察してみます。

※リスクの表現としての期待値:後編【産業保安のけいざい学】は8月第3木曜日掲載予定です。

牧野 良次 / Ryoji MAKINO,Ph.D

(国研)産業技術総合研究所 安全科学研究部門 主任研究員
「さんぽのひろば」編集長

産総研研究員なのに経済屋という変わりダネです。安全対策の経済的効果や社会的評価の定量化に関心があります。
出身地:愛媛県新居浜市(ただし上部)