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横目で見たアメリカの連邦行政機能の保安・安全向上活動(その3/3)【のぶさんのさんぽ道(SANPO-DO)】by 中島農夫男

さんぽコラム のぶさんのさんぽ道(SANPO-DO)
横目で見たアメリカの連邦行政機能の保安・安全改善活動(その3/3)
中島 農夫男

投稿日:2018年4月19日 10時00分

*『横目で見たアメリカの連邦行政機能の保安・安全改善活動(その1/3)』
*『横目で見たアメリカの連邦行政機能の保安・安全改善活動(その2/3)』

前回、スペースの関係から先送りさせていただいた硝酸アンモニウムの保安・安全、ベストプラクティス収集および本質安全化の活動について述べてみます。

1,硝酸アンモニウム(AN)の安全と保安指針
EPAOSHAおよび火器及び爆発物等取締局(ATF)は、連名でANの貯蔵、取扱い、管理指針を更新して発行しました。危険性分類、汚染物質、危険性低減処置、緊急対応の計画と対応及び各行政機関の情報等が、参考資料1)に詳しく述べられています。

2,より安全な技術、選択肢と多層安全防護
化学物質危険性の低減に向けたより安全な技術の使用促進を報告し、EPAOSHAは、連名で保安警報(参考資料2))を発行しました。より安全な技術概念や本質安全のアプローチ情報を提供しています。

①4つの本質安全化(安全物質代替え、危険物質保有最小化、条件マイルド化、プロセス/反応/制御等の簡素化)
②動力や人手が不要な受動的安全
③装置の作動を要する能動的安全
④手続きや操作管理面等のアプローチ順で検討をすること

です。また、リスクを常にコントロールすることは、複数のアプローチ(多層安全防護)を必要とします。例えば、危険物質貯蔵では、プロセスの必要最小量(保有最小化)、二次封じ込め策(受動的)、複数のレベル警報、オーバーフロー危険検出と遮断動作(アクティブ)、操作・保守手順書整備の防護手段が設置され、機能してリスクを確実に管理できることになります。

3,ベストプラクティスの収集と情報共有化の整備
大統領令は、ベストプラクティスの特定も求めました。組織体や企業と100回以上の会合を重ねつつ継続的取り組みについて提出方法、審査と登録手順等が整備されました。ベストプラクティスとは、一貫して優れた成果が示された方法、または、技術です。独自の成果根拠、継続性、再現性等が評価基準となります。対象は広く、データ処理分野も含む技術、緊急時対応者も含む教育・訓練、実用的で安全な代替方法、プロセス安全のツールと技術、標準的手順等の管理対応などとしています。

以上、ANは、規制近代化、隙間補完、緊急時対応も含めた網羅的な指針が提示されました。また、より安全で信頼性の高い技術への方向性は、新設はもとより既設改造や更新の際の重要な選択と判断要素になるかと思います。整備された情報基盤の利便性や有効性を、何らかの指標データ等の把握で確かめられればと思います。

参考資料
1)EPA 550-F-15-001, June 2015:Chemical Advisory: Safe Storage, Handling,
and Management of Solid Ammonium Nitrate Prills
2)EPA 550-F-15-003, June 2015:Chemical Safety Alert: Safer Technology
and Alternatives

中島 農夫男 / Nobuo NAKAJIMA

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 客員研究員

化学系民間会社で事業と技術のライフサイクルの各ステージを広く薄く携わった後、産総研にて事故情報収集と原因分析業務などに従事しております。
事例の物語風編集で”気づきセンス”の研ぎ澄ましにお役に立てればと思っています。