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光る板の向こう側:築地の場外市場内のラーメン店火災【注目の化学災害ニュース】2017年8月のニュースから RISCAD Close UP

2017年8月のニュースから RISCAD Close UP【注目の化学災害ニュース】
光る板の向こう側:築地の場外市場内のラーメン店火災
さんぽニュースピッカー 伊藤貴子

投稿日:2017年08月11日 10時00分

 2017年8月のニュースファイルから、今回は8/3発生の築地の場外市場内のラーメン店から出火した火災についてClose UP です。

 私はラーメン大好き人間でして、週末のうち必ず1食はお昼にラーメン店にてラーメンを食します。

 また、長年の厨房でのアルバイト経験(4店舗、トータル約10年)からか、入った飲食店がオープンキッチンの場合、出来上がりを待つ間に厨房内の清掃の行き届き、動線などをチェックしてしまう癖があります。

 今回はその厨房内の壁の構造が原因となる火災でした。 皆さんもお気付きかと思われますが、飲食店の厨房は特にコンロ周辺の壁にステンレス板が張ってあることが多いです。ちなみにその店の掃除が行き届いているかどうかは、特にコンロ前のステンレス部分を見ればわかります。あのステンレス板を上の方までピカピカに磨き上げるのには、かなりの労力がいりますし、それを毎日行っている店はいつでもステンレスがくもりなく光っている、というわけです。調理するものにもよるとは思いますが、ステンレス板は、清掃がしやすいですが、汚れも目立ちますし、それが蓄積すればなおのことです。

 話はそれましたが、今回のラーメン店での火災の出火元は、そのステンレス板の向こう側、木製の壁でした。ステンレス板越しの長年の過熱で内部の木製壁が炭化して燃えやすくなっており、コンロの熱が伝わってこもり発火した「伝導過熱」が原因の可能性があるとのことです。ラーメン店などはスープを仕込むために寸胴という大きな鍋を使用しますから、熱が伝わる面積も大きかったと思われます。

(左)一般的なラーメン店等の厨房 (右)寸胴鍋 ※画像は本文中の店舗とは関係ありません。

 同店は1966年(昭和41)年に築地場外市場に創業。私よりも先輩です。長年使用されてきた木造の店舗。途中改装などもあったと予想はされますが、何れにしても、約半世紀の間同じ場所で営業を続けていたわけです。その間にコンロの性能も上がり、火力もより強くなり、当然木造の壁は老朽化し、といろいろな変遷があったに違いありません。

 本来、ステンレス壁と、木造であればその木材との間には、断熱材があってしかるべきです。壁が他の材質であっても、火を使うところのそばですから、断熱材はマストです。

 今回の火災では、ステンレス製板と木製の壁の間の断熱材がどのような状態であったのかという情報は今のところ見当たりません。

 飲食店全般の話に戻りますと、飲食店は、「居抜き」という前の店舗が閉店し、厨房などがそのまま残った状態の物件を利用して営業を開始するところも少なくありません。設備投資費を抑えられ、場合によっては改修や内装の模様替えなどの工事が入ることもあるとは思いますが、それでも新築よりも工期は短く、開店までの時間も早くなります。

 しかしそんなときにも、物件の内部のみならず、ステンレス板の向こうの壁の状態もしっかりと確認しなくてはならないなと考えた今回の火災でした。

伊藤 貴子 / Takako ITO

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門 テクニカルスタッフ
「さんぽのひろば」ニュースピッカー

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