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薬品類の保管と管理 – 化学物質と「毒物及び劇物取締法」【注目の化学災害ニュース】2018年1月のニュースから RISCAD CloseUP

投稿日:2018年02月08日 10時00分

2018年1月のニュースファイルから、さんぽチームで活発に議論がされた内容をご紹介いたします。
1月月後半に立て続けに薬品類の管理について考えさせられるニュースが入ってきました。今回は 薬品類の管理と「毒物及び劇物取締法」にClose UPです。

1月後半に薬品類の管理に関係するニュースが3本飛び込んできました。

2017/09/25 静岡・中学生が学校から持ち帰った水銀が土壌に漏洩
2018/01/16 宮城・高校の化学実験室で保管中の化学薬品から火災
2018/01/31 福岡・毒劇物販売者倉庫からシアン化ナトリウムが紛失

2件は教育現場にまつわる事故、1件は販売業者での紛失で、これは盗難事件の可能性もあるのですが。

いずれも薬品の保管・管理がキーワードですね。
静岡の事例は授業で水銀を使用した実験後に教諭が水銀を保管庫に保管せず実験台に置いたままにしていた、宮城の事例は薬品を床置きの段ボール箱に保管していた、福岡の事例は猛毒のシアン化ナトリウム約1kgを紛失したとのことですね。

シアン化ナトリウム1kgは人が体内に摂取すると約5,000人分の致死量にあたるというのですが…。恐ろしいですね。500g入り容器2本がなくなったそうです。悪用されずに発見されるといいのですが。

毒物・劇物の基準と保管方法

一口に薬品といっても、例えば上記で触れたシアン化ナトリウムは法律で毒物に指定されている化学物質ですよね。他にも劇物と呼ばれているものもありますね。

それらの「毒劇物」という略称で呼ばれる化学物質は「毒物及び劇物取締法」(略称「毒劇法」)で指定されているもので、急性毒性で「毒物」と「劇物」が区分され,さらに、皮膚に対する腐食性、眼等の粘膜に対する重篤な損傷を与える特性などに基づき「劇物」が指定されています。他にも「特定毒物」という区分があります。上記の事例でいうと、シアン化ナトリウムも水銀も「毒物」です。また、「毒劇法」で規制されるものでも、医薬品及び医薬部外品は除外されています。
 (詳細:厚生労働省医薬・生活衛生局
     「毒物劇物の判定基準」(薬生薬審発0613第1号))

「毒劇法」に指定される物質には、それぞれ保管条件などに違いはあるのでしょうか?

毒劇物は、盗難や紛失、飛散、漏れ、流れ出、しみ出し、または、それらの地下へのしみ込みの防止に必要な措置を講じなければならないことが、「毒劇法」に定められています。また、保管場所はどちらも同じく、鍵のかかる丈夫なもので、施錠と適切な鍵の管理が必須です。保管、貯蔵、陳列に際しては、特定の文字表示(「医薬用外」、「毒物」、「劇物」)をする必要があります。他にも安全のために守るべき事項が「毒劇法」などで定められています。
 (参考:厚生労働省化学物質安全対策室
     「毒物劇物の適切な保管管理について」

宮城の高校の火災の事例は原因となった化学物質名がわかりませんが、静岡の中学校と福岡の販売業者での事例は、やはりその保管方法または鍵の管理などに問題があった可能性がありますね。人の命に関わる可能性もある「毒劇物」を適切に管理することは必須ですね。

【編集後記】

様々な危険性のある化学物質を取り扱うことがある場合には、「ちょっとだから保管庫に入れなくてもよいだろう」「まさかこんなもの誰も持って行ったりしない」「とりあえずここに置いておこう」といった油断が事故等につながる可能性もありますね。化学物質を所持保管等する際にはその特性をしっかり把握し、決められた手順を踏んで、しっかり管理することが大事ですね。
それにしても、紛失した5,000人分の致死量にあたる1kgのシアン化ナトリウムの行方が気になります…。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子