アルミニウム製缶とアルカリ性液体【注目の化学災害ニュース】2018年8月のニュースから RISCAD CloseUP

投稿日:2018年09月06日 15時00分

2018年8月のニュースファイルから、さんぽチームで活発に議論がされた内容をご紹介いたします。
8月にJR新宿駅で、ホーム付近に置いてあったアルミニウム製缶(以下、アルミ缶)のふたが飛び、中に入っていた液体が近くにいた会社員の足にかかり軽いやけどを負うという「事件」が起きました。過去に似たケースの「事故」があったアルミ缶とアルカリ性液体にClose UPです。

8月26日に、JR新宿駅のホーム付近にあった容量500mLのボトル型アルミ缶が突然破裂(正しくは噴出)したとされる「事件」が起きました。破裂(正しくは噴出)したとされる缶からは無色透明の液体が噴き出し、近くにいた会社員の足にかかり、軽いやけどを負ったとのことです。

「破裂」と報道されていることが多いようですが、「破裂」の場合、内圧上昇の末に容器が破損します。この事件では、同じくアルミ缶の内圧が上昇した末の結果と思われますが、報道された映像を見る限り、缶は破損しておらず、ふたが飛んで内容物が外に出ていることから、正しくは「噴出」です

なるほど。「破裂」は勘違いされやすい言葉ですね。「破裂」したことを「爆発」したと表現されていることもよくありますね。状態からすると、確かに「噴出」ですね。最初の発言でうっかり「破裂」と言ってしまいました。訂正しておきます(汗)。

アルミ缶の中には何が入っていたのか

警察の調べでは、アルミ缶の中身は、アルカリ性の液体で、洗剤などの可能性があるとのこと。この組み合わせ、過去の事例であったような気がします。

そうでした。この事例ですね。
2012/10/20 洗剤入りのアルミニウム缶が破裂

JR新宿駅での事件、アルミ缶から噴出した液体がアルカリ性の洗剤だったと仮定して、2012年の事例も参考にして考えると、缶の内部ではどのような反応がおきていたのでしょうか?

JR新宿駅の事件は、アルカリ性の洗剤であったとすれば、アルミニウムとアルカリ成分が化学反応を起こして水素が発生し、アルミ缶の内圧が上昇して内容物のアルカリ性洗剤が噴出した可能性があります。2012年の事例ではアルミ缶が破裂しましたが、今回は噴出ですね。

今回のJR新宿駅の事例は、報道情報から故意に行われた「事件」とみられていますが、2012年の事例からもわかるように、今後も同様の事故が起こる可能性は十分にあると思います。今回のアルカリ性洗剤が該当するかどうかわかりませんが、代表的なアルカリである水酸化ナトリウムや水酸化カリウムは、濃度によって「劇物」に指定されています。これらを取り締まる「毒物及び劇物取締法」では、第11条第4項で、「その容器として、飲食物の容器として通常使用される物を使用してはならない。」としています。もちろん、これは誤飲、誤食を防止するための取り決めですが、化学薬品の性質をよく調べずに、適当な容器に移し替えることは、場合によってはとても危険である、ということを広く知っていただく必要があると思います。

確かに2012年の事例は、悪気なく洗剤をアルミ缶に入れて持ち帰る途中で缶が破裂したというケースで、恐らく、アルミ製のボトル缶は強度がありそうだし、洗剤を入れても漏れないだろうという気持ちだったのではないかと思います。私たちの日々の生活の中でも、化学反応のことを忘れて危険なことをしてしまう瞬間、あるかもしれませんね。気をつけなくてはなりませんね。

【編集後記】

今回のJR新宿駅ホームでの事件は、まだ捜査中かと思いますが、飛散した内容物でやけどを負った方が早く回復し、傷など残らぬよう願ってやみません。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子