スプレー缶に関連する事故【注目の化学災害ニュース】2018年12月のニュースから RISCAD CloseUP

投稿日:2019年02月07日 10時00分

 

過去のニュースから、さんぽチームで活発に議論がされた内容をご紹介いたします。昨年12月に、北海道札幌市の不動産仲介店で消臭スプレーの処分中に大規模なガス爆発が発生し、火災が起きたというニュースが飛び込んできました。同不動産仲介店が入るテナントには、他にも飲食店が入っていたので、当初は飲食店で何かの原因でガスが漏洩して着火したという報道がありましたが、不動産仲介店での大量の消臭用エアゾール(以下、スプレー)の処分が原因であることが明らかになりました。スプレー缶に絡む事故事例としては、スプレー缶の穴開けの際に漏洩した可燃性ガスに着火して爆発が起きることなどがよく聞かれます。今回はその、スプレー缶に関連する事故にClose UPです。

昨年12月に、北海道札幌市の不動産仲介店で消臭スプレーの処分中にガス爆発、火災が起きました。

これは、同店内で店長と従業員の計2名が部屋のドアや窓を閉め切った状態で消臭用スプレーを噴霧して処分する作業をしており、店長が手を洗うために湯沸かし器をつけた際に、スプレー噴出剤のジメチルエーテルに着火したのが原因の可能性がある事故です。

テレビのニュースなどで目にしたその爆発事故現場の映像は凄まじかったですね。

同店では、消臭用スプレーを200本以上所有していて、使用期限が近いものを処分するため、うち約120本を噴霧していたとのこと。また、爆発が起きた際に、店外にあったLPガスボンベや、同テナント内の飲食店外にあったLPガスボンベのうち、一部の配管が外れてLPガスが漏洩し、着火した可能性があるようです。これだけの大きな爆発で、死者が出なかったのは不幸中の幸いですね。

事故現場の映像を見ると、死者が出なかったことは本当に色々な偶然が重なってのことかと思います。とはいえ、けがをされた方は50名以上、早い回復を祈るばかりです。

今回の事故とスプレー缶の穴開け中の事故

私たち「さんぽのひろば」では、過去にスプレー缶の処分方法に着目してきました。

再確認してください!スプレー缶の処分方法【注目の化学災害ニュース】2017年8月のニュースから RISCAD Close UP
RISCAD Update – 2017年9月第3週【週刊化学災害ニュース】
RISCAD Update – 2018年6月第2週【週刊化学災害ニュース】

しかし、今回の事故は、スプレー缶の穴開けではなく、スプレーの内容物を噴霧したあとに残留したジメチルエーテルという噴出剤に着火したのが原因とのことですね?

爆発の原因としては、穴開けで起きる場合も、今回の事故の場合も、仕組みは同じです。スプレー缶の中に残留している噴出剤を、穴を開けて出し切るか、完全に内容物を使用して出し切るかどうかです。

何れにしても、スプレー缶内の噴出剤は可燃性ガスである場合が多く、今回はジメチルエーテルでしたが、それはLPガスである場合もあります。

可燃性ガスを開放状態でない室内で噴霧すれば、可燃性混合気が形成される可能性が高いわけで、そこに何かの火種があれば着火します。

なるほど、そうですよね。過去の穴開けによる事故の事例も、スプレー缶を廃棄するために、噴出剤である可燃性ガスをスプレー缶から抜くために室内で穴開けをして、その可燃性ガスに着火するパターンがほとんどです。

今回はスプレーの内容物の消臭剤をスプレーの噴出機能を使用して処分中ということでしたが、その間にももちろん噴出剤の可燃性ガスは出ているし、ましてやスプレー缶に残留した可燃性ガスをスプレー缶の外に出すどころか、もっと大量の可燃性ガスを店の中にまいていたことになりますよね。100本以上の消臭用スプレーの噴霧処理をしていたとの情報もありますし。もっともこれには企業側の事情もあるようなので、一般家庭で起きる事故と比較するにはかなり状況が違うかもしれません。

推奨されるスプレー缶の処分方法

しかし、過去に記事を書く際に調べてみた時にも思ったのですが、スプレー缶に穴を開けてゴミに出すか否かは、自治体によってまちまちですよね。

一般社団法人日本エアゾール協会では、エアゾール缶(スプレー缶)の中身を使い切って完全にガスを抜き、穴を開けずに廃棄する方法を推奨しています。

下のような場合分けをして考えると、どういう対策が必要か明白だと思うのですが、念には念を、で消費者に穴開けのリスクを負わせている自治体が多いのは残念だと思います。

 (1)中身を使い切って穴開けをしない →安全上問題なし
  →
中身を使い切ることの周知が必要 →残留ガスは(3)と同じ
 (2)中身を使い切って穴開けをする
  →無駄な作業で消費者の負傷のリスクのみが増大

 (3)中身を使い切らずに穴開けをする
  →消費者の元で火災の危険性がある
  →(穴開けの前に)
中身を使い切ることの周知が必要
 (4)中身を使い切らずに穴開けもしない
  →収集、処理時に火災、爆発の危険性があるが、そもそもの廃棄物の出し方の    ルールの周知が必要
   =(穴開けの前に)
中身を使い切ることの周知が必要

ガス抜きキャップがついている製品もあるようですね。 ガス抜きキャップを実際に見たことがないのですが、私が見逃しているだけでしょうか?ボタンを押してスプレー缶内のガスを完全に抜くのは結構力がいります。ガス抜きキャップが付属していれば、もっと積極的に使用したいと思います。

ガスを抜いて廃棄するのはもちろん大事なことですが、火気のない風通しのいい屋外で行うことは忘れないようにしましょう。火気がない、とは、近くに裸火がないだけでなく、ガスが流れていく範囲に電気製品などがないことを確認する必要があります。また、換気扇があるからと台所や風呂場でやると、コンロの火や風呂釜の種火、換気扇のスイッチなどで着火する可能性があるので、これも絶対にやってはいけません。

【編集後記】

札幌の事故でもそうでしたが、給湯器や換気扇のスイッチ、風呂釜の種火などは、普段は「火気」という認識が薄い可能性があります。例えば、明らかに可燃性ガスが滞留している場所でライターの火をつけることはしないとしても、ガス臭いから換気扇を回そう(日常生活で換気扇と火が結びつかない)と考える可能性があります。このあたりも念頭においていただき、スプレー缶処分の際のガス抜きに関する事故が減ることを願います。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子