スプレー缶の廃棄とごみ収集車火災【注目の化学災害ニュース】2019年2月のニュースから RISCAD CloseUP

投稿日:2019年03月07日 10時00分

前回のこのコーナーで取り上げた、昨年12月に、北海道札幌市の不動産仲介店で消臭スプレーの処分中に大規模なガス爆発が発生し、火災が起きた事故は、被災した建物とその周辺の様子の映像とともに度々ニュースで報道され、衝撃とともにみなさんの記憶にも残っていることと思います。先日、その事故に関連して、ごみ収集車の火災が増えているとのニュースを見ました。札幌の事故をきっかけに、スプレー缶などが危険なものであるとの認識が広まり、慌てて廃棄しているからではないかとの推測が書かれていました。しかし、今回のこのコーナーでは、別の切り口からスプレー缶の廃棄とごみ収集車火災についてClose UPです。

昨年12月の、北海道の不動産仲介店で起きた、消臭スプレーの処分中のガス爆発、火災。その事故のあと、ごみ収集車でのスプレー缶などを原因とした火災が増えているというニュースを見ました。北海道の事故をきっかけに、スプレー缶などが危険なものであるとの認識が広まり、慌てて廃棄しているからではないかと推測されていたのですが、どうもその火災の背景にあるものはそれだけではないように感じています。

スプレー缶やカセットコンロ用ガスボンベを廃棄する際に中身を使い切って完全にガス抜きをすることは基本なのですが、ここでは別の角度からごみ収集車の火災事故原因を推察して行きたいと思います。

スプレー缶のごみ分類は?

ごみの出し方には自治体ごとのルールがあり、回収方法も様々です。例えば、私が住む自治体では、廃棄するスプレー缶をどのようにごみ収集に出すかを再確認してみました。

スプレー容器*の中身は使い切り、火の気のない風通しの良いところで穴をあける
スプレー缶の穴あけについては、賛否が分かれており、一般社団法人日本エアゾール協会では、中身を使い切って完全にガスを抜き、穴を開けずに廃棄する方法を推奨しています)
・キャップ類を外せる場合、プラスチック類は「燃やせるごみ」、金属製は「燃やせないごみ」として出す
・「スプレー容器*ごみ」は「びんごみ」と同じ日に出すが、袋は別にする
*ここでは本文中で使用している「スプレー缶」について、自治体の記載に従い「スプレー容器」としています。

地域のごみカレンダーや自治体のHPを見るとこのような情報が得られます。

ここで初歩的なことに立ち返ってみようかと思います。私の住む自治体では「缶ごみ」は飲料・食品の空き缶に限り、中身をからにしてすすぎ、袋に入れて「缶ごみ」の日に出すことになっています。そして汚れのひどい缶は「燃やせないごみ」の日に袋に入れて出すことになっています。ちなみにこの「燃やせないごみ」としてガス抜きをした使用済みライターも出せます。他に「燃やせないごみ」に分類されるものは、ガラス製品、アルミ箔、びんなどの金属製のふた、鍋やフライパンなどの調理器具、小型電器製品といったものがあげられています。

これはあくまでもより悪い方への推測ですが、スプレー缶が金属でできていることから、ごみの分類の知識を持たずに分類を考えた場合、「スプレー缶は缶だから『缶ごみ』」と判断することが全くないと言えるでしょうか?もっと大雑把にいうと、「スプレー缶は金属だから燃えないので『燃えないごみ』」と判断することが全くないと言えるでしょうか?

ごみを出す際のルールを知らない、知ろうとしないなど、ルールに無頓着なケースがないとは言いきれません。また、このルールは自治体ごとに違うわけですから、例えば引越しをしてすぐであった場合など、情報を知らずについ以前住んでいた自治体のルールでごみを出してしてしまうというケースがないとも限りません。

一般的なスプレー缶 
※画像は本文中の事故とは関係ありません。

完全にガス抜きがされていないスプレー缶が「缶ごみ」の日や「燃やせないごみ」の日に出されたらどうなるか?

先に述べた、より悪い方への推測を基準にスプレー缶をごみとして出した場合、どのようなことが起きるか仮定してみます。

スプレー缶は缶だから『缶ごみ』として出す
  ごみ収集車内で他の金属製の缶とともに破砕される際に、スプレー缶内に残留していたガス
  が排出され、金属の摩擦などで出る火花で着火して火災が起きる
スプレー缶は金属だから燃えないので『燃えないごみ』として出す
  ごみ収集車内、またはごみ処理場で他の燃えないごみとともに処理される際に、スプレー缶
  内に残留していたガスが破砕や圧縮で排出され、金属の摩擦などで出る火花や、燃えない
  ごみとして出されたライターの点火機能、小型電器製品の何かの電子機構による点火源など
  で着火して火災が起きる

これらはあくまでも仮定ですが、他にも危険なケースはあるかと思います。

まとめ

はじめに述べたように、スプレー缶やカセットコンロ用ガスボンベを廃棄する際にきちんとガス抜きをすることは基本です。しかし、万が一完全にガス抜きがされていないスプレー缶などがごみとして出された場合、さらに分別を誤っていると前出のような原因の火災が起きる可能性もあると考えます。

3月に入り、引っ越しなども多いシーズンとなりました。引っ越し先の自治体でのスプレー缶やカセットコンロ用ガスボンベのごみ出しルールをきちんと確認するようにしましょう。そうでない方も、これを機にみなさんの自治体のごみ出しルールを見直してみてはいかがでしょう。スプレー缶などの廃棄の際の穴あけに伴う危険性も注目されていることから、ガス抜きは必要だが、穴あけはしなくてよいというルールに変更になっている自治体もあるかもしれません。

【編集後記】

私たち「さんぽのひろば」では、これまでもスプレー缶の処分方法に着目してきました。以下の過去記事も合わせてご覧ください。
再確認してください!スプレー缶の処分方法【注目の化学災害ニュース】2017年8月のニュースから RISCAD Close UP
RISCAD Update – 2017年9月第3週【週刊化学災害ニュース】
RISCAD Update 2018年6月第2週【週刊化学災害ニュース
スプレー缶に関連する事故【注目の化学災害ニュース】2018年12月のニュースから RISCAD CloseUP

さんぽニュース編集員 伊藤貴子