学校の給食調理室での事故【注目の化学災害ニュース】2019年3月のニュースから RISCAD CloseUP

投稿日:2019年04月04日 10時00分

過去のニュースから、さんぽチームで活発に議論がされた内容をご紹介いたします。 今年1月と3月に、学校の給食調理室で火災が起きました。いずれも給食調理用の鍋に油を入れてコンロの火をつけた後の管理が行き届かなかったことが原因と思われます。わたしたち「さんぽのひろば」では、過去に学校で起きた事故について取り上げてきましたが、それは主に授業や部活動中の理科や化学の実験時やその後に起きたものでした。同じ学校でも、今回は学校の給食調理室での事故についてClose UPです。

今年1月と3月に、学校の給食調理室が絡む火災が起きました。

1/18 大阪・小学校の給食調理室で釜の空焚きによる火災
:給食調理員が油を入れた釜の火を消し忘れて空焚きとなったことが原因の可能性

3/18 北海道・中学校の給食調理室で調理用油の火災
:給食調理員が油を入れた鍋を火にかけたまま休憩室に行っている間にコンロの火で釜の中の油に着火した可能性

いずれの事故も、給食調理員が火にかけた釜から目を離した際に起きた火災と考えられます。

「火気を使用する際には、火から目を離してはいけません」という安全教育をする場である学校の中にある給食調理室でこのような火災が起きるのは児童・生徒への影響としてもよくありませんね。

大阪のケースは給食調理室に調理員が6名いたようなのですが、誰も空焚きに気づかなかったのでしょうか?油を入れた釜(私が自宅で使用しているのは鍋やフライパンですが)が空焚きになって出火するまでには、相当煙が出ると思うのですが、調理員は誰もそれに気づかなかったのでしょうか?

北海道のケースも、油を火にかけたままで調理員2名ともが別室に休憩に行き、20分も戻らないというのは、非常識ですね。

釜が大きい割に油の量は少ないから大丈夫、など安心してしまう理由があるのでしょうか?北海道のケースでは、釜に20-30Lの食用油が入っていたというのですが、一般家庭で使用する量の20-30倍となるため、釜の大きさの想像がつきません。

何れにしても、油を火にかけて目を離すというのは非常に危険なことなので、私でもしませんが、調理のプロであるからこその、慣れによる油断があったのでしょうか?

過去の給食調理室での事故

RISCAD(リスキャド)のフリーワード検索で「給食」を検索してみました。
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2014/10/27 兵庫・小学校の給食室でぼや
:直径約1mの大釜で油を加熱中に起きた事故。生徒らはグランドに避難してけが人はいなかった。

2015/9/18 青森・小学校の給食室で害虫駆除作業中にガス爆発
:害虫駆除作業のため燻煙式の殺虫剤に着火したところ、配管から漏れていたガスに着火。給食調理員1名が爆風で吹き飛んだ業務用冷蔵庫の扉の下敷きになり死亡、別の調理員1名が重傷、栄養士1名、児童2名、害虫駆除の作業員1名の計4名がやけどや切創で軽傷を負った。

2017/12/18 岐阜・小学校の給食調理室でガスボンベ交換作業中にLPガスが漏洩
:業者がLPガスボンベ交換作業の際に、ガス管との接続バルブを閉止し忘れて作業をしたため、LPガスが漏洩。給食調理室では火気を使用して調理をしていたが、漏洩したガスへの着火はなかった。給食調理員4名と同室近くの教室にいた児童1名が頭痛や吐き気で軽傷となった。

改めて見ると、給食調理室は学校の中でも最も火に近い場所ですね。調理にはガスも使用しますし。

2015年の青森の事故は、昨年3月に害虫駆除会社の社員が業務上過失致死容疑で書類送検されましたね。また、同10月には死亡した調理員のご遺族が市に損害賠償を請求されました。

この事故は殺虫剤の火で漏れたガスに着火して爆発が起きたということですが、結構大きな爆発ですよね。業務用冷蔵庫の扉が飛んだことや、調理室や教室の窓ガラスが計70枚も割れたことから、その爆発の威力が伺えます。

害虫駆除のための燻煙式の殺虫剤は、給食調理室の地下ピットで着火されたようですが、どうやらこの地下ピット内を通るガス管に問題があり、ガスが漏れていたようです。ピット内には他に水道管や排水管が敷設されており、事故の約2年前に水漏れが起きたそうです。その時には水を抜く処置をしたそうなのですが、そのまた1年後、要は事故の約1年前にはピット内に水が溜まっているのが確認されていたということです。ガス管は水に浸かって腐食し、それがガス漏れにつながったようです。

また、これは余談ですが、燻煙式の殺虫剤を使用しようとしていたので、ある程度閉鎖空間になっていた可能性があり、可燃性ガスの爆発は、閉鎖空間ではすぐに圧力が開放される場合よりも圧力が高まり、被害が大きくなる傾向があります。

爆発の威力が大きかった背景にはそのような理由があったのかもしれませんね。

しかし、漏水が繰り返されたということは、水漏れを起こしたピット内の水道管か排水管への処置はしなかったということなのでしょうか。

水道管からの漏水を放置したことがガス管の腐食の原因となった可能性があるとのことで、ご遺族の訴えは、市の安全対策不十分という理由です。

なるほど、漏水が繰り返されたということは、水道管の修繕を十分にしなかった可能性があり、学校に関する修繕は市の管轄ということですね。

たくさんの命を預かる学校

学校という場所は、これからを期待されるたくさんの命が育まれる場所です。その学校で、一番火に近い給食調理室で起きた事故を振り返ってみましたが、ぼや、火災、爆発と、やはり火に関連する事故が多いですね。

子どもたちを危険にさらさないためにも、給食調理室での安全管理を徹底してほしいですね。

【編集後記】

私の通っていた小学校・中学校には給食調理室がありませんでした。なぜかというと、市が給食センターを運営していて、そこで調理された給食がトラックで学校に運ばれて来るというシステムだったからです。知識としては、「給食のおばさん」(給食調理員の方への親しみを込めた呼称です)の存在を知っていましたが、実際に見たことはなかったのです。
今回、学校の給食調理室での事故を振り返ってきましたが、給食はありがたいシステムであると同時に、火やガスなどの危険な事故が起きる可能性があるものを使用するため、給食を学校の給食調理室で調理して提供されている学校と、給食が提供されていても、私の子供時代のように学校とは別の場所で調理されている学校、または給食の提供がない学校と、前者と後者では同じ学校でも、もしもの火災などに遭遇する確率が違うということを認識しました。子どもたちの安全で楽しい学校生活のために、給食調理室での「火の用心」を徹底していただきたですね。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子