冬に多発する一酸化炭素中毒【注目の化学災害ニュース】RISCAD CloseUP

投稿日:2021年01月21日 10時00分

2021年最初のこのコーナー、今回は、年始に数多く起きた事例をもとに、冬に多発する一酸化炭素中毒についてClose UPです。

寒波襲来の年末年始

ご存知の通り、この年末年始、日本列島を寒波が襲いました。大雪の予報を受けた公共交通機関が、計画的に減便・運休するなどし、その後予報通りにやってきた寒波により、日本海側の一部の地域では大雪が降りました。一部の高速道・一般道では、積雪による車両の立ち往生が発生するなどしました。

12/31には、「さんぽのひろば」のfacebookページで、過去の記事を再掲し、降雪時の自動車内での一酸化炭素中毒発生の可能性について注意喚起を行いました。

そしてそんな中、降雪時の自動車内に限らず、様々なケースの一酸化炭素中毒の事故が起きました。

一酸化炭素中毒の事故事例

一体どのような原因で一酸化炭素中毒が起きたのでしょうか。2021年が明けてから発生した一酸化炭素中毒の事例をみていきます。

①2021/01/01 北海道・物置内で除雪機運転中に一酸化炭素中毒
住宅の敷地内の平屋建ての物置で家庭用除雪機の運転中に一酸化炭素中毒が起きた。同住宅の住人が同物置内で倒れている家族1名を発見し、消防に通報した。消防が家族1名と同じく倒れていた通報者の住人1名を病院に搬送したが、家族1名は病院で死亡が確認され、通報者の住人1名は搬送中に意識が回復した。警察と消防の調べでは、同物置は約6畳の広さで、家庭用除雪機のエンジンがかかった状態で置かれていた。換気不足により同物置内に一酸化炭素が滞留した可能性がある。

②2021/01/02 福島・農業用ハウス内で一酸化炭素中毒
トマト栽培をする面積約20,000平方mの農業用ハウスでボイラの不完全燃焼による一酸化炭素中毒が起きた。同ハウス内で作業中の約20名のうち、5名が体調不良で病院に搬送され、うち3名が一時重症、2名が中等症となった。警察と消防の調べでは、同ハウスでは、光合成促進を目的としてボイラを稼働させて二酸化炭素発生を発生させていたが、ボイラに空気を送るモータのファンベルトが摩耗して不具合が起き、空気の供給不足により不完全燃焼が起きた可能性がある。

③2021/01/08 秋田・住宅で発電機使用中に一酸化炭素中毒
大雪により停電した住宅内で発電機の使用による一酸化炭素中毒が起きた。同住宅の玄関で住人2名が倒れているのを知人が発見し、消防に通報したが、出動した消防と警察が2名の死亡を確認した。警察と消防の調べでは、同地域では前日の19:30頃から大雪のため停電中であった。同住宅の玄関には発電機が置かれ、稼働していた形跡があったが、玄関扉や住宅の窓は全て閉められていた。発電機使用時の換気不足により室内に一酸化炭素が滞留した可能性がある。

④2021/01/10 北海道・ワカサギ釣りのテント内で一酸化炭素中毒
湖上のテント内でワカサギ釣り中に一酸化炭素中毒が起きた。別のテントの仲間が異変に気付き、消防に通報した。同テント内には4名がいたが、うち2名は当初意識がなかったため、ドクターヘリで別の市の病院に搬送され、2名は救急車で市内の病院に搬送された。警察と消防の調べでは、同テント内の4名は別のテント内にいた3名とともに同湖にワカサギ釣りに来ていた。同テント内では、暖をとるために調理用ガスバーナを使用しており、換気不足によりテント内に一酸化炭素が滞留した可能性がある。

⑤2021/01/10 石川・駐車中の車内で一酸化炭素中毒
飲食店の駐車場に駐車中の軽乗用車内で一酸化炭素中毒が起きた。近所の住民が異変に気付き、消防に通報した。消防が運転席で意識不明となっていた1名を病院に搬送したが、その後死亡した。警察と消防の調べでは、同車両周辺に積雪があったことから、雪で動けなくなった車のエンジンをかけていたことにより、排気口などが積雪で塞がれ、排気ガスが車内に流入した可能性がある。

このように、一酸化中毒による事故事例は、報道等で確認できたものだけで2021/01/01-10までで5件発生しました。

一酸化炭素中毒による事故を起こさないために
 −事故事例から考える

それでは、これらの事故事例を参考に、私たちが一酸化炭素中毒を防ぐためにできる対策を考えてみたいと思います。

1.換気に注意
まず、の事例は、除雪機や発電機など、主に軽油やガソリンを燃料とする機器を換気の悪い室内で使用したことにより起きた事故です。窓を開ける、換気扇を回すなどの十分な換気をしなかったことで燃料の燃焼に必要な酸素が十分に供給されず、不完全燃焼が起きて一酸化炭素が発生し、室内に滞留して被害者は中毒を起こした可能性があります。
寒波と大雪で、窓を開けよう、換気をよくしようといってもなかなか難しいこととは思います。しかし、それにより命の危険に晒される可能性があるので、除雪機の暖気運転や発電機使用の際には、機器を稼働させる場所の換気をしっかりしましょう。

2.機器の点検をしっかりと
次に、の事例についてですが、こちらはボイラに空気を送る機器の不具合により起きた事故です。ボイラも何かの物質を燃料として稼働しており、その燃料にはかなりの高確率で炭素が含まれています。炭素や、炭素を含む物質が燃焼する際に、酸素の供給が不十分であった場合に、不完全燃焼を起こして一酸化炭素が発生するわけですから、そのような物質を燃料として使用する機器は、日頃の点検をしっかりとしたうえで、十分な換気をして使用することが大事です。

3.機器の適切な使用
さて、次はの事例についてです。これはテント内での調理用ガスバーナ使用中に換気不足が原因で起きた事故です。昨年12月第2週のRISCAD Updateで、テント内でのバーベキュー中のカセットコンロ用ガスボンベの破裂、爆発事故に関連して触れましたが、テント内での火気の使用は、一酸化炭素中毒はもちろんですが、テントの素材に着火して火災が起きる可能性もあります。この事故で、テント内で使用していたとされる「調理用ガスバーナ」が具体的にどのようなものかは不明ですが、明らかにテント内で暖をとる目的に使用するのには不適であると想定されます。一酸化炭素中毒を防ぐため換気をすることはもちろんですが、場所、目的に応じた機器を使用することも重要です。

4.積雪時の車内に注意
最後にの事例ですが、これは前述の、過去の「さんぽのひろば」のRISCAD Updateでも触れた、エンジンをかけて駐車中の車内で、積雪により車の排気口などが塞がれ、排気ガスが車内に流入して一酸化炭素中毒が起きたと推測される事故です。過去の記事でJAF(一般社団法人日本自動車連盟)サイトの記事を紹介していますので、こちらの文末の記事を再度お読みいただければと思います。

このように、事故には何かの原因があります。日頃から注意すること、点検をすること、知識を念頭に置くことで防ぐことができる事故は多いと思うのです。

【さんぽのひろば 過去の参考記事】

【編集後記】

昨日1/20は二十四節気のひとつ「大寒」でした。1年で最も寒いと言われる時期です。暦の上での春の始まりとされる2/3の「立春」はすぐそこですが、それでも例年立春を迎えてからも寒い日は続きます。コロナ禍の折、みなさま、例年以上にお身体にお気をつけいただき、また1年よろしくお願いいたします。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子