RISCAD Update 2019年10月第3週【週刊化学災害ニュース】

この度の台風19号の影響により被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

2019/10/11 12:00 – 2019/10/18 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2019年10月23日 10時00分

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*2019/10/13発生の、中国・飲食店でガス爆発
:商店や飲食店が立ち並ぶエリアの飲食店でのガス爆発。9名が死亡、10名が負傷

*2019/10/13発生の、宮城・稲わらに乗り上げた乗用車のタイヤから摩擦熱で火災
:台風で冠水した路上に残留していた稲わらに乗り上げた乗用車が、後退して脱出を試みたがタイヤが空転を繰り返して摩擦熱により出火

*2019/10/13発生の、東京・省庁の庁舎で配管から蒸気が漏洩
:地下2階の空調機械室内の配管部品が破損して高温蒸気が漏洩し、火災報知器が反応

*2019/10/14発生の、静岡・台風の高潮により浸水した食用油工場の薬物保管庫で農薬入りアルミ缶を紛失
:台風の高潮で浸水した薬物保管庫から、リン化アルミニウム剤1kg入りの未開封のアルミ缶3本が紛失。工場ではリン化アルミニウム剤を穀物の燻蒸の際に防虫剤として使用していた。リン化アルミニウム剤は毒物及び劇物取締法で特定毒物に指定されており、空気中の水分と反応して有毒ガスを発生する

*2019/10/15発生の、中国・合成樹脂工場で爆発
:工場では合成樹脂や塗料を製造しており、ホルムアルデヒドとフェノールを反応釜で反応させる作業中に何かの原因で爆発した可能性

*2019/10/16発生の、福島・台風による河川氾濫によりめっき工場からシアン化ナトリウムが流出
:台風の大雨による河川氾濫の影響で、めっき工場からシアン化ナトリウムが流出。薬品管理簿も流出したため、流出量は不明。シアン化ナトリウムは、毒物及び劇物取締法で毒物に指定されており、水や酸などと接触すると青酸ガスを発生する

10/10に、福岡県の住宅で、敷地内に増設中の木造平屋建ての建物から出火し、同建物約140平方mが全焼するという火災が起きました。警察と消防の調べでは、火災の前日に同建屋の床をワックスがけしており、その際に使用した布から自然発火した可能性があるとのことでした。

自然発火による火災というと、記憶にあるものとしては、エステ店などでマッサージ用オイルを拭き取った後のタオルを洗濯し、乾燥機で乾かした後にタオルが自然発火して起きた火災や、天ぷら調理で出た天かすを金属製のザルに入れて放置し、揚げ玉が自然発火して起きた火災などがあります。

これらの自然発火には何が共通しているのでしょうか。

それは、酸化反応です。

油の中でも酸化しやすいものは、空気中の酸素と結合(酸化反応)して発熱(酸化熱)することがあり、この発熱が蓄積されると酸化が促進されて温度が上昇し、発火する可能性があるのです。これがすなわち、酸化反応による自然発火なのです。

今回の火災は、ワックスの拭き取りに使用した布からの自然発火の可能性があるとのことですが、自然発火が起こるためには、ある程度の量の油が付着した布などが堆積してその内部で酸化熱の蓄熱が起こる必要があります。ワックスがけを行なったという出火前日の現場付近の気温は23.4℃、火災発生時刻頃の気温は12.6℃とそう高くありません。我々の考察としては、この気温条件下で、一般家庭の床のワックスがけに使用した程度の量の布が自然発火する可能性は低いと考えています。米国では塗料を拭き取った少量のぼろ布の蓄熱による火災の報告事例があり、比較的少量でも状況によってはくすぶる可能性がありますが、いずれにしても付近に着火しやすいものなどがないと火災が起きる可能性は低いのではないかと考えます。

とはいえ、まさかと言うところからの火災、酸化しやすい油と自然発火の危険性を念頭に置いて気をつけましょう。

さんぽニュース編集員 伊藤貴子