RISCAD Update 2020年8月第3週【週刊化学災害ニュース】

2020/08/14 12:00– 2020/08/21 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2020年08月26日 11時00分

 【お知らせ】
   各事例タイトル下にRISCADの該当事例へのリンクを記載しております。
   (例:RISCAD事例ID:1xxxx)
   このRISCAD Updateの記事と併せ、RISCADでより詳細な概要をご参照ください。


*2020/08/14発生の、滋賀・競走馬トレーニングセンター内の厩舎で火災
RISCAD事例ID:18034

:厩舎1棟約820平方mが全焼し、別の厩舎2棟の一部が焼けた。厩舎内にいた競争馬12頭のうち、4頭が焼死し、別の1頭が気管熱傷で後日安楽死処分された。全焼した厩舎の空調機などの電気系統の不具合が原因の可能性

*2020/08/15発生の、北海道・キャンプ場のテント内で一酸化炭素中毒
RISCAD事例ID:18035

:暖をとるためにテント内で炭を燃やし、換気不足により不完全燃焼となり、一酸化炭素中毒が起きた可能性。テント内にいた家族4名のうち、2名が一時重症、2名が軽症となった

*2020/08/16発生の、山梨・倉庫に保管されたヘリウムガスボンベが破裂
RISCAD事例ID:18037

:ヘリウムガスボンベが保管されていた倉庫内の温度が上昇し、ボンベの内圧が上昇して破裂した可能性。付近の日中の最高気温は39℃近かった

*2020/08/18発生の、愛媛・バイオマス燃料工場で機械付近から火災
RISCAD事例ID:18038

:廃プラスチックや古紙,木屑などを原料にして、製紙工場のボイラ燃料などに使用されるバイオマス固形燃料(RPF)を製造する工場での火災。操業準備中に燃料の製造機械付近から出火した可能性

*2020/08/18発生の、米国・樹脂リサイクル工場で在庫品に高圧電線が落下して火災
RISCAD事例ID:18039

:樹脂リサイクル工場近くの鉄塔から何かの原因で落下した高圧送電線1本が原因で、工場の在庫の樹脂に着火した可能性。工場では樹脂を再利用して樹脂フィルムやごみ袋などを製造していた

*2020/08/19発生の、広島・トラックの車内で冷却スプレーの噴霧後に爆発
RISCAD事例ID:18040

:トラックの運転手が、車内で体に向けて冷却用スプレーを約30秒噴霧した後、たばこを吸うためライターを操作した。車内に残留していた冷却用スプレーの噴出剤の可燃性ガスに、ライターの火で着火した可能性


上記、8/18発生のバイオマス燃料(RPF)工場での火災、工場内に製造した燃料はもちろん、その原料となる可燃物が多量にあったためでしょうか、消火には約13時間を要し、約1,800平方mの工場が全焼しました。

折しもこの火災があった週は、17年前、三重県のごみ固形燃料(RDF)発電所での二度の爆発事故が起きた週でもありました。

2003/08/14 ごみ固形燃料(RDF)発電所の燃料貯蔵槽で爆発

2003/08/19 ごみ固形燃料(RDF)発電所の燃料貯蔵槽で爆発

この1週間と間を空けずに起きた事故で、消防士2名が死亡し、作業員4名が負傷しました。

そしてこのごみ固形燃料(RDF)発電所は、時代とともにごみ処理方法がリサイクルや焼却処理へ切替わったこと、売電収入の減少により運営費がかさんだこと、それを補うために当初無料であったごみの処理委託料が高騰したことなどが要因となり、多額の累積赤字を抱え昨年9月にて事業を終了しました。

さて、冒頭でお知らせしたのはバイオマス燃料(RPF)で、この17年前の三重での爆発事故の原因となったのはごみ固形燃料(RDF)で、同じ廃棄物由来の燃料ですが、RPFRDFの違いについては、以下の通りです。

RPF(Refuse derived paper and plastics densified Fuel)
産業廃棄物の古紙及び廃プラスチック類を主原料とした固形燃料。製造業、物流業など企業の排出するごみを原料とするため異物の混入は少なく、比較的低コストで製造できる。

RDF(Refuse Derived Fuel)
自治体が収集する、生ごみを含む家庭ごみを主原料とする。家庭でのごみの分別に限界があり、原料に不燃物異物などが混ざる可能性が高い。生ごみなど水分を含むごみが混ざっているため、ごみを乾燥させる必要がある。また、原料の塩素含有率が高いため、燃料製造時に生石灰や消石灰を添加する必要がある。

かつて、家庭ごみが燃料になるという「夢のリサイクル」として台頭したRDF発電。1990年代後半から、国の補助金の後押しもあり、複数の自治体がこの試みに魅力を感じて設備投資を行ったようです。しかし今では、ほとんどの自治体が前出の三重の撤退と大差なき理由で、RDF事業から撤退または撤退予定とのことです。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子