RISCAD Update 2020年10月第4週【週刊化学災害ニュース】

2020/10/23 12:00– 2020/10/30 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2020年11月04日 11時00分



*2020/10/22発生の、タイ・天然ガスパイプラインで爆発、火災

:天然ガスパイプラインから天然ガスが漏洩して着火した可能性。3名が死亡、52名が負傷

*2020/10/23発生の、福岡・土木関連工場でアセチレンガスボンベから火災

:工場の作業場で従業員が作業中に、アセチレンガスに着火した可能性。木造2階建ての事業所に延焼し、1階の一部が焼損。従業員1名がやけどで負傷

*2020/10/26発生の、東京・埠頭で荷降し中のフォークリフトで火災

:フォークリフトを使用して大型トレーラからコンテナを降ろす作業中に、フォークリフトのエンジン部分から出火した可能性

*2020/10/27発生の、栃木・工場で廃棄物などの火災

:工場内での作業中に出火した可能性。廃棄物などが焼けた

*2020/10/27発生の、北海道・港に停泊中の漁船で火災

:船は無人で、岸壁の電源と船を繋ぐ電源ケーブルが短絡して出火した可能性。同船の船長が消火作業中に右手にやけどで軽傷

*2020/10/29発生の、奈良・国道で自動車を積載した大型貨物自動車の火災

:貨物自動車後部から出火した可能性。貨物自動車の後部が焼け、積載していた新車5台が全焼


今年6月に愛知県の化学工場で以下の事故が起きました。
2020/6/10 愛知・化学工場で設備解体作業中に爆発
化学工場の樹脂膜製造工場内の休止設備解体作業中に爆発が起きた。火災の発生はなかった。解体作業中の作業員1名が死亡した。警察と消防の調べでは,同設備ではリチウムイオン電池のセパレータなどに使用されるポリオレフィン製平膜を製造していたが、2019年に休止されて解体中であった。死亡した作業員は同設備内のステンレス製の有機溶剤を入れていた箱の解体を行っていた。箱内に残留していた有機溶剤に何かの原因で着火した可能性がある。
この事故について、10/28に企業から事故調査報告書が発表されました。

事故当時の情報で、「ステンレス製の有機溶剤を入れていた箱」とされていたものは、フィルムの洗浄工程に使用する処理槽で、運転時に使用されていた有機溶剤はメチルエチルケトンであったとのことです。

同処理槽の稼働当時、中間空洞部に腐食が原因で穴が空き、その穴からメチルエチルケトンが浸入して内部に残留しており、解体作業時に中間空洞部分をプラズマ溶断機で切断しようとして、メチルエチルケトンに着火、爆発に至りました。

解体作業前には、槽内や配管内等のメチルエチルケトンの除去は済ませていたものの、中間空洞部内にメチルエチルケトンが浸入して残留していたことはもとより、中間空洞部が腐食していたことも想定外であったようです。また、中間空洞部が密閉構造であったことから、浸入して揮発したメチルエチルケトンが拡散せず、中間空洞部内に残留していたことも大きな要因でした。

なお、腐食の原因について、事故調査報告書では、槽の外側に設置されたジャケット内を循環する精製水(ジャケット水)への塩化物混入、または微生物による腐食加速の可能性などが触れられていましたが、ここでは割愛いたします。

有機溶剤などの揮発性の高い可燃性物質を入れた容器の解体をする際には、例えそれが一斗缶やドラム缶であっても、内部に溶剤等が揮発して残留している可能性を考えるなど、特段の注意を払わなくてはいけません。今回のこの事故で、稼働停止後しばらく時間がたった装置であっても、どこかに盲点があり、危険が潜んでいる可能性があることを考えなくてはいけないと認識させられました。
さんぽニュース編集員 伊藤貴子