RISCAD Update 2021年7月第4週【週刊化学災害ニュース】

2021/07/16 12:00– 2021/07/21 12:00時点までのニュースファイルをお送りいたします。

投稿日:2021年08月03日 14時00分



*2021/07/16発生の、東京・合同庁舎でパソコンの電源ケーブルの短絡による火災

:業務に使用しているパソコンの電源コードの一部が断線しており、短絡により出火した可能性。スプリンクラが作動して約1.6tの水が撒かれ、9階の複数の部屋で天井板が落下した。また、庁舎3-10階までの各階が浸水するなどした

*2021/07/17発生の、岐阜・樹脂製品工場で火災

:工場兼事務所約650平方mが焼けた。工場は無人であったが、一部の機械が稼働していた

*2021/07/18発生の、静岡・バルブ工場で金属切断中に火災

:石油プラントやタンカに使用するバルブなどを製造する工場での火災。工場は休業日で、別業者が同工場内で金属の切断作業中であった

*2021/07/19発生の、富山・医薬品工場でタンクローリから無水硫酸移送中に漏洩

:9.6tの無水硫酸(三酸化硫黄)を、タンクローリから工場内設備に移送中に起きた漏洩事故。タンクローリのタンクの底部に穴が開いた可能性

*2021/07/19発生の、山口・ソーダ灰工場の炭酸化塔で火災

:定期修理中の直径約3m、高さ約28mの炭酸化塔での火災。塔内のゴム製の厚さ約5mmの内張が焼けた。炭酸化塔はアンモニアを含有する塩水と炭酸ガスを反応させる設備だが、定期修理のため、装置は停止されており、塔の内部は空であった

*2021/07/20発生の、中国・アルミニウム合金工場で洪水による水蒸気爆発

:洪水に伴う浸水によるNatech。工場内に流入した河川の水が高温の熔解アルミニウム合金に触れ、水蒸気爆発が起きた可能性


上記、7/20に中国のアルミニウム合金工場で水蒸気爆発が発生しました。

当時、現地では豪雨により河川の氾濫が発生して、事故のあった工場が浸水し、工場内に流入した河川の水が高温の熔解アルミニウム合金に触れたことで、水蒸気爆発が起きた可能性があるとのことです。

同様のケースの事故は、2018年の西日本豪雨の際に日本でも発生しました。
2018/7/9 岡山・豪雨による浸水でアルミニウム工場の溶解炉で水蒸気爆発
豪雨による浸水でアルミニウム工場の容量約40tの溶解炉で水蒸気爆発が起きた。周辺の民家、空き家、車庫の計3棟が全焼し、広範囲にわたり民家などの窓ガラスや壁などが破損した。周辺住民など約40名が負傷した。同工場が所有する化学物質による二次災害の恐れがあったため,警察が周辺住民に避難指示を出した。警察と消防の調べでは、当日は大雨に備え朝から同炉の運転停止のためのアルミニウム抜き取り作業が行われていた。同工場は通常は24時間操業であったが、午後10時前に同工場内が浸水し始めたため、同炉内に熱せられたアルミニウムが約半分残った状態で従業員は避難し、爆発当時同工場は無人であった。高温のアルミニウムが残った炉内に水が流入して水蒸気爆発が起きた可能性がある。
この事故については、2019/7に警察が会社の社長と工場長を業務上過失傷害と業務上失火の疑いで書類送検しましたが、2021/1に地検が嫌疑不十分で不起訴としました。

工場では、大雨に備え、朝から炉の運転停止のためのアルミニウム抜き取り作業を行っていたものの、工場内が浸水し始めたため、同炉内に熱せられたアルミニウムが約半分残った状態で従業員は避難し、高温のアルミニウムが残った炉内に水が流入して水蒸気爆発が起きました。

Natech(Natural-Hazard triggered Technological Accidents、自然災害に起因する産業事故)について、容赦なく襲ってくる自然災害、そしてそれを予見しての余裕をもった事前対応の難しさを考えさせられた事故でした。

 

【参考記事】

さんぽニュース編集員 伊藤貴子